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仕事や生活の拠点が日本と海外を行き来する方にとって、盲点になりやすいのが「国民年金の手続き」です。

日本国籍の方が海外に住む際、「住民票を抜くかどうか」などの選択によって、将来受け取る年金の計算が大きく変わります。主な3つのパターンを整理しました。


1. 住民票を抜き、任意加入もしなかった場合

日本に住民票を置かず、国民年金にも加入しなかった期間です。

  • 種別: 第1号被保険者ではありません。

  • 年金の扱い: 「合算対象期間(カラ期間)」となります。

  • ポイント: 受給資格期間(10年)にはカウントされますが、将来の年金額には反映されません。


2.住民票を抜き、国民年金に「任意加入」した場合

日本に住民票はないものの、日本国籍があるため希望して加入(任意加入)し、保険料を納めた期間です。

  • 種別: 第1号被保険者となります。

  • 年金の扱い: 「保険料納付済期間」となります。

  • ポイント: 受給資格期間にカウントされるだけでなく、将来の年金額もしっかり増えます。


3.住民票を日本に置いたまま海外へ行った場合

実際には海外に住んでいても、住民票を日本に残している状態です。

  • 種別: 第1号被保険者となります。

  • 年金の扱い:「合算対象期間(カラ期間)」にはなりません。

  • ポイント: 保険料を納めれば「納付済期間」になりますが、未払いのまま放置すると「未納期間」となり、将来の年金が減るだけでなく、障害年金などが受け取れないリスクが生じます。


4.「住民票の扱い」が重要なのか?

これらの違いは、以下の受給要件を判断する際に非常に重要になります。

  1. 老齢年金: 受給資格期間(10年)を満たせるか、年金額がいくらになるか。

  2. 遺族年金: 亡くなった際の加入要件(原則25年など)を満たしているか。

  3. 障害年金: 万が一の際、保険料納付要件を満たしているか。


⚠️原則は「住所と居所の一致」を

「なんとなく面倒だから住民票を置いたままにする」のはおすすめできません。

実態と書類が異なると、いざという時の手続きが複雑になります。

海外へ行かれる際は、「住民票を抜いて任意加入する(年金額を増やす)」か、「住民票を抜いてカラ期間とする(受給資格だけ確保する)」のか、ご自身のライフプランに合わせて選択することが大切です。



 
 
 

日本で働く外国籍の方は、国籍や性別にかかわらず、原則として全員が日本の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになっています。

しかし、数年で母国へ帰国する場合、日本の年金を受け取るために必要な「10年間の加入期間」を満たせないケースが多く、保険料が「掛け捨て」になってしまうという問題がありました。

これを防ぐための制度が「脱退一時金」です。


1.「脱退一時金」を受け取れるのはどんな人?

以下の条件をすべて満たす場合、請求することでこれまでに納めた保険料の一部が戻ってきます。

  • 日本国籍を有していないこと

  • 公的年金(国民年金・厚生年金)の加入期間が合計「6ヶ月以上」あること

  • 老齢年金の受給権(原則10年の加入)を満たしていないこと

  • 日本に住所を有していないこと(帰国していること)

⚠️【社会保障協定について】 日本と社会保障協定を結んでいる国(アメリカ、ドイツなど)の方は、日本での年金加入期間を母国の年金加入期間に合算できる場合があります。一時金をもらうと日本の期間が消えてしまうため、どちらが有利か慎重な判断が必要です。

2.支給額の上限が「5年(60ヶ月)」に拡大されました

これまでは「36ヶ月(3年)」が上限でしたが、近年の法改正により、現在は最大「60ヶ月(5年)」分まで受け取ることが可能です。

  • 2021年3月以前に資格喪失した場合: 最大36ヶ月

  • 2021年4月以降に資格喪失した場合: 最大60ヶ月

長期で滞在し、しっかりと貢献していただいた方が、より多くの還付を受けられるようになっています。


3.手続きのタイミング:出国前でも可能に!

以前は「日本を出国してから2年以内」に郵送等で手続きするのが原則でしたが、現在はルールが緩和されています。

  • 以前: 出国後に海外から請求

  • 現在: 市役所などに「転出届(転出予定)」を提出していれば、日本にいるうちに出国前の手続きが可能になりました。

これにより、帰国直前のバタバタや、海外からの慣れない書類郵送の手間を軽減できるようになっています。


4.まとめ

  • 6ヶ月以上働いて帰国するなら、脱退一時金のチェックを忘れずに!

  • 上限は5年分(60ヶ月)まで拡大。

  • 「出国前」から手続きの準備ができる。

せっかく納めた保険料ですから、制度を正しく理解して活用したいですね。



 
 
 

法人の役員が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するかどうかは、「代表権の有無」「常勤・非常勤」「報酬の有無」の組み合わせで決まります。

意外と知られていない判断基準や、役員が別の会社でも勤務(二以上事業所勤務)をした場合のルールを整理しました。


1.. 役員の社会保険 加入パターン

役員報酬が発生していても、働き方によっては加入対象外となるケースがあります。

役員の立場

加入の条件

代表取締役

役員報酬があれば強制加入(無報酬なら対象外)

常勤役員(取締役等)

役員報酬があれば強制加入(無報酬なら対象外)

非常勤役員

原則として対象外(毎月報酬があっても常勤性がなければ加入しない)


2.「常勤」か「非常勤」か? 6つの判断基準

「名前だけの役員(非常勤)」のつもりでも、実態が伴っていると社会保険への加入を求められることがあります。日本年金機構では、以下の6項目を総合的に見て判断します。

  1. 出勤頻度: 定期的に出勤しているか

  2. 他職の兼務: 他の会社の役員などを多く兼ねていないか

  3. 会議の出席: 役員会などにしっかり出席しているか

  4. 指揮監督: 従業員への指示や、役員間の調整業務を行っているか

  5. 意見の反映: 単に意見を述べるだけでなく、経営に深く関わっているか

  6. 報酬の妥当性: 報酬額が業務内容に見合っているか(実費弁償程度ではないか)


3. 役員も利用できる! 社会保険の優遇制度

役員であっても、被保険者であれば従業員と同様に以下の制度を利用できます。

  • 出産手当金:産前42日(多胎98日)+産後56日のうち、妊娠又は出産を理由として労務に従事しなかった期間について支給を受けることが出来る制度です。

    役員については、産休や育休による役員報酬の「臨時改定事由」を以て、役員報酬が停止または大幅に減額となる場合、受給可能となります。

    「〇月分からは全額停止」など停止・減額の開始と支給再開の区切りを明確にした内容を、取締役会や株主総会で決議し、議事録を残すなど適正なプロセスを経たうえで申請が必要です。

    ⚠️臨時改定事由で定める・・・

    「やむを得ず役員報酬を変更しなければならない」事情とは?

    □役員の職務上の地位の変更

    □役員の職務内容の変更

    □上記に類するもの(出産や育児による休暇

  • 産前産後休業中の保険料免除: 期間中の社会保険料が本人・会社とも免除されます。

  • 養育期間の特例: 子供が3歳になるまで報酬が下がっても、将来の年金額を「下がる前の水準」で計算してくれます。

  • 育児休業等終了時報酬月額変更:育児休業から復帰し時短勤務等で報酬が下がった場合、育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、4ケ月目から社会保険料(標準報酬月額)を適正な額に引き下げることができます。通常の随時改定と異なり、1等級以上の低下で改定可能、被保険者の任意申請です。


最近は複数の会社で役員を兼ねるケースも増えています。その場合、「二以上事業所勤務届」の提出が必要です。

  • 手続き: メインとなる事業所を1つ選び、年金事務所へ届け出ます。

  • 保険料の計算: すべての会社の報酬を合算して「標準報酬月額」を決定し、それぞれの報酬額に応じて保険料を按分(割り振り)します。


⚠️報酬が変わった時の「随時改定(月変)」

複数の会社で働いている場合、少し特殊な判断が必要になります。

  • ケースA:片方の会社だけ大幅に報酬が変わった

    その会社のみ「月額変更届」を出します。合算した保険料が再計算されます。

  • ケースB:両方の会社で報酬が変わったが、合計額は変わらない

    この場合も、両方の会社で届出が必要です。合計の保険料は変わりませんが、会社ごとの「按分割合」が変わるため、新しい決定通知書が届きます。

  • ケースC:各社での変動は小さいが、合算すると2等級以上の差が出る

    意外かもしれませんが、この場合は「月額変更届」の提出は不要です。


5.まとめ

役員の社会保険は、形式的な肩書きよりも「経営への関与度(常勤性)」と「報酬」の実態が重視されます。特に複数社から報酬を得る場合は計算が複雑になるため、事前のシミュレーションが重要です。

「うちの役員は加入が必要?」「副業を始めたけど手続きは?」など、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。

 
 
 

りゅう社労士オフィス

愛知県一宮市萩原町富田方字八剱60番地

​社会保険労務士登録番号:23120054

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