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働きながら年金を受け取る際や、退職後に雇用保険・健康保険の給付を受ける際、「どちらかが止まってしまうのでは?」と不安になる方は多いものです。 今回は、複雑に絡み合う「年金と各給付の調整ルール」を分かりやすく解説します。


1.在職老齢年金と「高年齢雇用継続給付」の調整

60歳以降も働きながら老齢厚生年金を受ける際、給与と年金の合計額が65万円(令和8年度支給停止基準額)を超えると年金の一部または全額がカットされます。

さらに、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」を受ける場合は注意が必要です。


■在職老齢年金受給中は以下のように支給停止がかかります(令和8年度) 

給与+老齢厚生年金の額※

老齢厚生年金 (在職中に受ける年金)

高年齢雇用継続給付金受給したとき

65万円未満

全額支給

高年齢雇用継続給付は最大で10%受けれます 年金から給与の最大4%が減額されます

65万円超

一部または全額支給停止

同上

※正式には 「給与」→総報酬月額相当額 「老齢厚生年金」→年金基本月額 です


2. 「傷病手当金」と年金の調整

病気や怪我で働けなくなった際の「傷病手当金」は、受給のタイミングでルールが変わります。

 

傷病手当金

在職中

調整せず全額受給可能

退職後

「資格喪失後の傷病手当金」は受給不可(老齢厚生年金が少なければ差額支給)

※同一傷病の障害厚生年金と傷病手当金は、調整が入ります


3.「失業給付(基本手当)」と年金の調整

ハローワークで求職の申し込みをすると、65歳未満の老齢厚生年金は全額支給停止となります。年金は月単位で止まりますが、失業給付を全日数分使い切らなかった場合は、後で年金が解除(精算)されます。

支給停止解除月数 = 停止された月数 -(失業給付の支給対象となった日数 ÷ 30日※) ※1未満の端数は切り上げ

尚、障害年金と基本手当は停止調整ありません


4.「年金の方が高い」のに求職申し込みをしてしまったら?

失業給付金と比較して年金の方が有利な場合は、あえて失業給付金を受けないという選択肢もあります。

⚠️万が一、年金額の方が多いのに間違えて求職の申し込みをした場合 

基本手当の受給状況

対応及び影響

未受給

ハローワークに取消調整依頼可能

1日でも受給済

基本手当30日分までの受給で申請すれば年金1ケ月停止で済みます。 但し、31日分以上受給しますと年金2ケ月以上停止になります


5.支給調整のまとめ

 

健康保険の

傷病手当金

労災保険の

障害(補償)等年金

遺族(補償)等年金

雇用保険の

基本手当

老齢厚生年金

※退職後のみ

調整あり

調整なし

調整あり

老齢基礎年金

調整なし

調整なし

調整なし

障害厚生年金

※調整あり

(別傷病除く)

労災側を調整

調整なし

障害基礎年金

調整なし

労災側を調整

調整なし

※傷病手当金の調整: 退職後、または障害厚生年金と同一傷病の場合。「年金額÷360」が傷病手当金の支給日額より多い場合、傷病手当金は支給されません。


65歳未満の年金には「一人一年金」の原則があり、老齢・障害・遺族のいずれかを選択することになります。しかし、雇用保険の基本手当については、障害年金であれば調整されずに両方受け取れるといったルールも存在します。

退職時の選択一つで、受給総額が数十万円単位で変わることもあります。 「自分にとって最適な受給パターン」を知りたい方は、ぜひ個別の年金相談をご利用ください。





 
 
 

「家族手当」的な役割を持つ年金の上乗せ制度、「配偶者加給年金」

実は2028年(令和10年)4月より、支給額の引き下げと計算ルールの簡素化が予定されています。

今回は、現行制度のおさらいとともに、将来の受給額がどのように変わるのか、最新の改定率(令和8年度想定)に基づき解説します。

1. 配偶者加給年金の基本要件(現行)

まず、加給年金を受け取るための主な要件を確認しましょう。

  • 本人の加入期間: 厚生年金の被保険者期間が20年以上(※1)あること。

    ※1:中高齢者の特例(40歳以降15年〜19年など)に該当する場合を含みます。

  • 加算のタイミング: 65歳到達時、または受給中の退職時改定・在職定時改定で加入期間が初めて20年に達した時。

  • 配偶者の条件: 65歳到達時点で生計を維持されている65歳未満の配偶者がいること。


⚠️ 令和4年4月からの重要ルール(支給停止)

配偶者自身が「20年以上の厚生年金期間」に基づいた老齢厚生年金等の受給権を持っている場合、実際に年金を受け取っていなくても(在職停止中などでも)、加給年金は全額支給停止となります。


2.【2028年4月改正】加給年金額と特別加算の引き下げ

2028年4月より、加給年金の「本体価格」と、生年月日に応じて加算されていた「特別加算」の両方が引き下げられ、金額が一本化されます。

① 配偶者加給年金(本体)

  • 現在: 243,800円

  • 改正後(2028年4月〜): 219,400円(約2.4万円の減額)

    ※令和8年度想定改定率1.085で算出

② 特別加算額

現在は受給権者の生年月日に応じて段階的に設定されていますが、改正後は一律となります。

  • 現在: 最大179,900円(昭和18年4月2日以後生まれの場合)

  • 改正後(2028年4月〜): 161,900円(約1.8万円の減額)

    ※令和8年度想定改定率1.085で算出


3.改正の適用対象となる方は?

今回の減額・新ルールが適用されるのは、以下の生年月日の方からです。

対象者:昭和38年(1963年)4月2日以後生まれの方(令和10年4月1日以降に65歳に到達する方)

既に受給している方や、2028年3月までに受給権が発生する方については、従前の金額・ルールが適用されます。


4.改正後は、合計で年間約4.2万円のマイナスに

改正後の加給年金(本体+特別加算)の合計額を比較すると、以下のようになります。

項目

現行(最大)

改正後(2028年4月〜)

差額

合計支給額(年額)

423,700円

381,300円

▲42,400円

※数値は令和8年度改定率(1.085)を適用した試算値です。

今回の改正は、実質的な給付抑制となります。特に昭和38年4月以降生まれのご夫婦にとっては、老後設計における「加給年金」の見積もりを少し下方修正しておく必要があるでしょう。


「自分のケースでは加給年金がもらえるのか?」「共働きの場合の注意点は?」など、個別の年金診断やライフプラン相談も承っております。お気軽に当事務所までご相談ください。

 
 
 


人生100年時代、ライフスタイルの多様化により「年金受給世代になってもお子様を養育している」ケースが増えています。これを受け、2028年(令和10年)⒋月より、老齢年金における「子の加算」ルールが抜本的に見直されます。

今回は、実務上非常に重要な「基礎年金への加算新設」「厚生年金の加算要件緩和」について解説します。


1.【新設】老齢基礎年金への「子の加算」

これまで、老齢基礎年金(国民年金)には「子の加算」という仕組みはありませんでした。これが2028年4月より新たに創設されます。

  • 加算額(年額): 287,100円(※令和8年度改定率1.085を想定し試算)

  • 計算式: 上記定額 ×(保険料納付済期間+免除期間 ※上限300月)÷ 300月

  • 特徴: お子様の人数に限らず定額となります。

⚠️ ここに注意!:既受給者は対象外 この「基礎年金の子の加算」は、2028年4月1日以降に受給権が発生する方が対象です。既に年金を受け取っている方には適用されませんのでご注意ください。

2.【拡充】老齢厚生年金の「子の加給年金」

厚生年金に加入していた方に上乗せされる「加給年金」も、より受け取りやすく、金額もシンプルになります。

① 加入期間要件が「240月」から「120月」へ

これまで加給年金をもらうには「20年(240月)」の加入が必要でしたが、改正後は「10年(120月)」に大幅緩和されます。

  • 対象: 2028年4月1日以降に受給権を得る方

  • タイミング:

    1. 65歳(受給権取得時)に120月以上の加入がある

    2. 受給中に退職時改定や在職定時改定を経て、初めて120月に達した時

② 加算額の定額化

現在の「1・2人目」と「3人目以降」の金額差がなくなり、一律の定額となります。

  • 改正前(現在):1・2人目 243,800円/3人目 81,300円(※令和8年度想定)

  • 改正後(2028年4月〜): 287,100円(人数によらず定額/※令和8年度想定)


3.改正内容の比較

項目

現行ルール

2028年4月からの新ルール

老齢基礎年金への加算

なし

あり(最大287,100円)

老齢厚生年金の要件

厚生年金加入 240月以上

厚生年金加入 120月以上

厚生年金の子の加算額

人数により変動(第3子以降減額)

人数によらず一律定額

※老齢基礎年金と老齢厚生年金の子の加算加給が重複するとき➡老齢基礎年金の子の加算が支給停止されます


今回の改正は、就職が遅かった方や、自営業期間が長く厚生年金加入期間が短い方にとって、大きな恩恵となります。

ただし、「改正日(2028年4月1日)より前に受給権がある人」は、残念ながら旧来のルール(240月要件など)が適用されます。 ご自身がどちらのルールに該当するのか、あるいは「受給を遅らせる(繰下げ)」ことで有利になるのかなど、事前の確認が非常に重要です。


「改正後の年金額がどうなるか、より詳細な個別相談をご希望の方は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。」

 
 
 

りゅう社労士オフィス

愛知県一宮市萩原町富田方字八剱60番地

​社会保険労務士登録番号:23120054

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