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法人の役員が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するかどうかは、「代表権の有無」「常勤・非常勤」「報酬の有無」の組み合わせで決まります。

意外と知られていない判断基準や、役員が別の会社でも勤務(二以上事業所勤務)をした場合のルールを整理しました。


1.. 役員の社会保険 加入パターン

役員報酬が発生していても、働き方によっては加入対象外となるケースがあります。

役員の立場

加入の条件

代表取締役

役員報酬があれば強制加入(無報酬なら対象外)

常勤役員(取締役等)

役員報酬があれば強制加入(無報酬なら対象外)

非常勤役員

原則として対象外(毎月報酬があっても常勤性がなければ加入しない)


2.「常勤」か「非常勤」か? 6つの判断基準

「名前だけの役員(非常勤)」のつもりでも、実態が伴っていると社会保険への加入を求められることがあります。日本年金機構では、以下の6項目を総合的に見て判断します。

  1. 出勤頻度: 定期的に出勤しているか

  2. 他職の兼務: 他の会社の役員などを多く兼ねていないか

  3. 会議の出席: 役員会などにしっかり出席しているか

  4. 指揮監督: 従業員への指示や、役員間の調整業務を行っているか

  5. 意見の反映: 単に意見を述べるだけでなく、経営に深く関わっているか

  6. 報酬の妥当性: 報酬額が業務内容に見合っているか(実費弁償程度ではないか)


3. 役員も利用できる! 社会保険の優遇制度

役員であっても、被保険者であれば従業員と同様に以下の制度を利用できます。

  • 出産手当金:産前42日(多胎98日)+産後56日のうち、妊娠又は出産を理由として労務に従事しなかった期間について支給を受けることが出来る制度です。

    役員については、産休や育休による役員報酬の「臨時改定事由」を以て、役員報酬が停止または大幅に減額となる場合、受給可能となります。

    「〇月分からは全額停止」など停止・減額の開始と支給再開の区切りを明確にした内容を、取締役会や株主総会で決議し、議事録を残すなど適正なプロセスを経たうえで申請が必要です。

    ⚠️臨時改定事由で定める・・・

    「やむを得ず役員報酬を変更しなければならない」事情とは?

    □役員の職務上の地位の変更

    □役員の職務内容の変更

    □上記に類するもの(出産や育児による休暇

  • 産前産後休業中の保険料免除: 期間中の社会保険料が本人・会社とも免除されます。

  • 養育期間の特例: 子供が3歳になるまで報酬が下がっても、将来の年金額を「下がる前の水準」で計算してくれます。

  • 育児休業等終了時報酬月額変更:育児休業から復帰し時短勤務等で報酬が下がった場合、育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、4ケ月目から社会保険料(標準報酬月額)を適正な額に引き下げることができます。通常の随時改定と異なり、1等級以上の低下で改定可能、被保険者の任意申請です。


最近は複数の会社で役員を兼ねるケースも増えています。その場合、「二以上事業所勤務届」の提出が必要です。

  • 手続き: メインとなる事業所を1つ選び、年金事務所へ届け出ます。

  • 保険料の計算: すべての会社の報酬を合算して「標準報酬月額」を決定し、それぞれの報酬額に応じて保険料を按分(割り振り)します。


⚠️報酬が変わった時の「随時改定(月変)」

複数の会社で働いている場合、少し特殊な判断が必要になります。

  • ケースA:片方の会社だけ大幅に報酬が変わった

    その会社のみ「月額変更届」を出します。合算した保険料が再計算されます。

  • ケースB:両方の会社で報酬が変わったが、合計額は変わらない

    この場合も、両方の会社で届出が必要です。合計の保険料は変わりませんが、会社ごとの「按分割合」が変わるため、新しい決定通知書が届きます。

  • ケースC:各社での変動は小さいが、合算すると2等級以上の差が出る

    意外かもしれませんが、この場合は「月額変更届」の提出は不要です。


5.まとめ

役員の社会保険は、形式的な肩書きよりも「経営への関与度(常勤性)」と「報酬」の実態が重視されます。特に複数社から報酬を得る場合は計算が複雑になるため、事前のシミュレーションが重要です。

「うちの役員は加入が必要?」「副業を始めたけど手続きは?」など、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。

 
 
 

大学生などの皆さんは、20歳になると国民年金への加入義務が発生します。「学生で収入がないのに、毎月の保険料を払うのは大変……」と感じる方も多いはず。

そんな時に活用したいのが、親の所得に関わらず、本人の所得次第で保険料の支払いが猶予される「学生納付特例制度」です。


1. 学生納付特例を受けられる対象者は?

この制度は、大学(大学院)、短大、高校、高専、専修学校、および一部の各種学校に在学する学生(※)が対象です。

  • 本人の所得基準(前年所得)

    以下の計算式で求められる金額以下であれば、申請が認められます。

    128万円 +(扶養親族等の数 × 38万円)+ 社会保険料控除等

    ※ご本人のアルバイト代が中心であれば、多くの場合この基準内に収まります。

    (※1)学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校(※2)、一部の海外大学の日本分校(※3)に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象です。

    (※2)各種学校

    修業年限が1年以上の課程に在学している方に限ります(私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校に限ります。)

    (※3)海外大学の日本分校

    日本国内にある海外大学の日本分校等であって、文部科学大臣が個別に指定した課程


2.特例を受けるメリットと「未納」との大きな違い

「どうせ払えないから放置でいいや」と未納のままにしておくのは非常に危険です。特例の承認を受けることで、以下の権利が守られます。

項目

特例承認(猶予)

未納(放置)

受給資格期間

10年間の期間にカウントされる

カウントされない

将来の年金額

反映されない(※追納で解決)

反映されない

障害・遺族年金

万が一の際、受け取れる

受け取れない

⚠️在学中に病気やケガで障害が残った場合、未納だと「障害基礎年金」が支給されません。特例を申請しておくことは、「もしもの時の保険」を確保することでもあるのです。

3. 将来の年金を増やすには「追納」がおすすめ

特例期間は、そのままでは将来受け取る「老齢基礎年金」の額には反映されません。満額に近づけるためには、後から保険料を納める「追納」を検討しましょう。

  • 10年以内なら追納可能

    承認を受けた月から10年以内であれば、後から納付できます。

  • 早めの納付がお得

    承認から3年度目以降に追納する場合、当時の保険料に経過期間に応じた「加算額」が上乗せされます。

  • 節税メリットも!

    追納した保険料は、全額が「社会保険料控除」の対象になります。就職後、ボーナスなどの臨時収入があった際に追納すれば、所得税や住民税を軽減することができます。


4.手続きについて

学生納付特例は、原則として卒業するまで毎年申請が必要です。

ただし、申請を忘れていた場合でも、保険料の納期限から2年以内であれば、遡って申請することが可能です。「手続きを忘れていた!」という方も、諦めずに年金事務所や市区町村の窓口へ相談しましょう。


「学生納付特例」は、学生の皆さんの将来を守るための大切な制度です。単なる「先送り」ではなく、未納リスクを回避する手段として、必ず手続きを行っておきましょう。

 
 
 

年金には、家族を養っている場合に上乗せされる「家族手当」のような仕組みがあります。それが「配偶者加給年金」です。

しかし、この加算を受けるには「いつの時点で配偶者がいるか」「配偶者の年収はいくらか」など、細かい要件をクリアする必要があります。今回は、老齢厚生年金と障害厚生年金、それぞれの加算条件を整理して解説します。


1. 配偶者加給年金が加算される基本条件

まず共通の前提として、対象となる配偶者が「自身の老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や障害年金」を受給していないことが条件となります。


2. 老齢厚生年金に加算される場合

加算額:234,800円(令和6年度・年額)

※受給者の生年月日により、さらに「特別加算」がつく場合があります。

  • 本人の要件: 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あること(中高齢者の特例を含む)。

  • 配偶者の要件: 65歳到達時点(または定額部分の支給開始時点)で、本人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいること。

  • 生計維持の基準: 同居(または別居でも仕送りがある等)しており、配偶者の前年の年収が850万円未満(所得655.5万円未満)であること。かつ、この状態が将来(概ね5年以上)にわたって続くと認められる必要があります。


3. 障害厚生年金(1級・2級)に加算される場合

加算額:234,800円(令和6年度・年額)

  • 加算のタイミング:

    1) 障害年金の受給権発生時にすでに配偶者がいる場合。

    2) 平成23年4月1日以降に、結婚や再婚によって配偶者を有することになった場合(届出により、その時点から加算が始まります)。

  • 配偶者の要件: 本人に生計を維持されている65歳未満の配偶者であること。

  • 生計維持の基準: 老齢厚生年金と異なり、恒常的に年収850万円未満であることが条件です。


⚠️ 「離婚・再婚」による受給の可否

ここが重要なポイントです。老齢と障害では、再婚のタイミングによって受給可否が分かれます。

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加算されるタイミングのルール

老齢厚生年金

「受給権が発生した時点(通常65歳)」に配偶者がいる必要があります。65歳を過ぎてから再婚しても、原則として加給年金はつきません。

障害厚生年金

「受給権が発生した後」の結婚・再婚でも、届出をすることで加算の対象となります。


 
 
 

りゅう社労士オフィス

愛知県一宮市萩原町富田方字八剱60番地

​社会保険労務士登録番号:23120054

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