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60歳以降も働きながら年金を受給される方にとって、秋から冬にかけて届く「書類」の手続きは少し複雑です。

特に間違いやすいのが、勤務先と日本年金機構の両方から届く「扶養控除等申告書」の書き方です。

今回は、ついついやってしまいがちな「控除の二重適用」を防ぐためのポイントを整理しました。


1.扶養控除は「どちらか一方」でしか受けられません

配偶者を扶養に入れている場合、「給与(勤務先)」と「年金(年金機構)」の両方で控除を受けることはできません。

一般的には、収入が多い「勤務先」で控除を受けた方が節税効果が高くなるため、以下のように書き分けるのがスムーズです。

提出先

使用する書類

配偶者欄の記入

勤務先

記入する(控除を受ける)

日本年金機構

記入しない(控除を受けない)

【注意!】もし両方に記入してしまったら?所得税の控除を二重に受けてしまうことになります。あとで気づいた場合は、確定申告をして正しく税金を納め直す必要がありますのでご注意ください。

2.「加給年金」と「税金の扶養」は別物です

「配偶者加給年金(年金の家族手当)」をもらっているからといって、必ずしも「税制上の扶養(源泉控除対象配偶者)」になれるわけではありません。

それぞれ配偶者の年収要件が異なるため、別々に考える必要があります。

配偶者の年収

(給与の場合)

配偶者加給年金

税の扶養

(源泉控除対象配偶者)

150万円以下

○ 該当する

○ 該当する

850万円未満

○ 該当する

× 該当しない

850万円以上

× 該当しない

× 該当しない

※上記は本人の所得制限等を除いた、一般的な目安です。

このように、年収が150万円(2025年度:改正により160万円)を超えてくると「加給年金はもらえるけれど、税金の扶養には入れない」というケースが出てきます。書類を書く前に、ご家族の年収を一度チェックしてみてください。


3.まとめ

  • 扶養控除は、**給与か年金の「どちらか片方」で申告する。

  • 迷ったら、節税メリットが出やすい**「勤務先」で申告するのが一般的。

  • 年金の家族手当(加給年金)とは、年収ルールが違うので注意。


「自分の場合はどう書けばいいの?」と迷われた方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
















 
 
 

仕事や生活の拠点が日本と海外を行き来する方にとって、盲点になりやすいのが「国民年金の手続き」です。

日本国籍の方が海外に住む際、「住民票を抜くかどうか」などの選択によって、将来受け取る年金の計算が大きく変わります。主な3つのパターンを整理しました。


1. 住民票を抜き、任意加入もしなかった場合

日本に住民票を置かず、国民年金にも加入しなかった期間です。

  • 種別: 第1号被保険者ではありません。

  • 年金の扱い: 「合算対象期間(カラ期間)」となります。

  • ポイント: 受給資格期間(10年)にはカウントされますが、将来の年金額には反映されません。


2.住民票を抜き、国民年金に「任意加入」した場合

日本に住民票はないものの、日本国籍があるため希望して加入(任意加入)し、保険料を納めた期間です。

  • 種別: 第1号被保険者となります。

  • 年金の扱い: 「保険料納付済期間」となります。

  • ポイント: 受給資格期間にカウントされるだけでなく、将来の年金額もしっかり増えます。


3.住民票を日本に置いたまま海外へ行った場合

実際には海外に住んでいても、住民票を日本に残している状態です。

  • 種別: 第1号被保険者となります。

  • 年金の扱い:「合算対象期間(カラ期間)」にはなりません。

  • ポイント: 保険料を納めれば「納付済期間」になりますが、未払いのまま放置すると「未納期間」となり、将来の年金が減るだけでなく、障害年金などが受け取れないリスクが生じます。


4.「住民票の扱い」が重要なのか?

これらの違いは、以下の受給要件を判断する際に非常に重要になります。

  1. 老齢年金: 受給資格期間(10年)を満たせるか、年金額がいくらになるか。

  2. 遺族年金: 亡くなった際の加入要件(原則25年など)を満たしているか。

  3. 障害年金: 万が一の際、保険料納付要件を満たしているか。


⚠️原則は「住所と居所の一致」を

「なんとなく面倒だから住民票を置いたままにする」のはおすすめできません。

実態と書類が異なると、いざという時の手続きが複雑になります。

海外へ行かれる際は、「住民票を抜いて任意加入する(年金額を増やす)」か、「住民票を抜いてカラ期間とする(受給資格だけ確保する)」のか、ご自身のライフプランに合わせて選択することが大切です。



 
 
 

日本で働く外国籍の方は、国籍や性別にかかわらず、原則として全員が日本の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになっています。

しかし、数年で母国へ帰国する場合、日本の年金を受け取るために必要な「10年間の加入期間」を満たせないケースが多く、保険料が「掛け捨て」になってしまうという問題がありました。

これを防ぐための制度が「脱退一時金」です。


1.「脱退一時金」を受け取れるのはどんな人?

以下の条件をすべて満たす場合、請求することでこれまでに納めた保険料の一部が戻ってきます。

  • 日本国籍を有していないこと

  • 公的年金(国民年金・厚生年金)の加入期間が合計「6ヶ月以上」あること

  • 老齢年金の受給権(原則10年の加入)を満たしていないこと

  • 日本に住所を有していないこと(帰国していること)

⚠️【社会保障協定について】 日本と社会保障協定を結んでいる国(アメリカ、ドイツなど)の方は、日本での年金加入期間を母国の年金加入期間に合算できる場合があります。一時金をもらうと日本の期間が消えてしまうため、どちらが有利か慎重な判断が必要です。

2.支給額の上限が「5年(60ヶ月)」に拡大されました

これまでは「36ヶ月(3年)」が上限でしたが、近年の法改正により、現在は最大「60ヶ月(5年)」分まで受け取ることが可能です。

  • 2021年3月以前に資格喪失した場合: 最大36ヶ月

  • 2021年4月以降に資格喪失した場合: 最大60ヶ月

長期で滞在し、しっかりと貢献していただいた方が、より多くの還付を受けられるようになっています。


3.手続きのタイミング:出国前でも可能に!

以前は「日本を出国してから2年以内」に郵送等で手続きするのが原則でしたが、現在はルールが緩和されています。

  • 以前: 出国後に海外から請求

  • 現在: 市役所などに「転出届(転出予定)」を提出していれば、日本にいるうちに出国前の手続きが可能になりました。

これにより、帰国直前のバタバタや、海外からの慣れない書類郵送の手間を軽減できるようになっています。


4.まとめ

  • 6ヶ月以上働いて帰国するなら、脱退一時金のチェックを忘れずに!

  • 上限は5年分(60ヶ月)まで拡大。

  • 「出国前」から手続きの準備ができる。

せっかく納めた保険料ですから、制度を正しく理解して活用したいですね。



 
 
 

りゅう社労士オフィス

愛知県一宮市萩原町富田方字八剱60番地

​社会保険労務士登録番号:23120054

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