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大切なパートナーを亡くされた際、生活を支える柱となるのが「遺族年金」です。

しかし、若くして受給が始まる場合、実は「一生涯もらえるわけではない」という重要なルールがあるのをご存知でしょうか。

今回は、特に見落としがちな「30歳未満の受給制限」と、将来の受給額の変化について整理します。


1.30歳未満の遺族厚生年金は「5年間の有期年金」が原則

30歳未満で遺族厚生年金の受給権を得た場合、お子さんの有無や遺族基礎年金の受給状況によって、もらえる期間が変わります。

夫死亡時の妻の年齢

子の有無

遺族基礎年金の状況

支給期間(遺族厚生年金)

30歳未満

なし

権利なし

受給権を得た日から5年で終了

30歳未満

あり

失権した時※1

遺族基礎年金が終わってから5年で終了

30歳未満

あり

受給中

終身(一生涯)受給可能

※1) 遺族基礎年金の失権とは: お子さんが18歳(年度末)に達した、または婚姻・養子縁組などで受給要件から外れた場合を指します。※年齢計算の注意点: 法律上、誕生日の前日に年齢が加算されるため、支給制限の対象は「30歳の誕生日の前々日まで」に亡くなられたケースとなります。

2. 知っておきたい「選択」と「併給」のルール

「長期要件」と「短期要件」どちらも該当したら?

遺族厚生年金の計算には、加入期間が短い方のための「短期要件」と、長く加入していた方のための「長期要件」があります。両方に該当する場合、請求時に別段の申し出をしない限り、有利になりやすい「短期要件」として扱われるのが一般的です。


雇用保険(失業保険)との関係

老齢年金とは異なり、遺族年金は雇用保険の基本手当(失業手当)と同時に全額受け取ることが可能です。

ただし、65歳未満で「特別支給の老齢厚生年金」などを得ている場合は、どちらか有利な方を選択する必要があります(障害年金も同様です)。


3. 女性が65歳を迎える際の「年金の壁

遺族厚生年金を受給中の女性には、年齢の節目でいくつか注意点があります。

年齢

注意すべきポイント

60歳まで

国民年金保険料(令和6年度:月額16,980円)の納付義務があります。

65歳到達

中高齢寡婦加算が終了します。人によっては年金額が大きく減る可能性があります。

65歳到達

自身の老齢厚生年金が優先支給されます。遺族厚生年金は、老齢厚生年金より多い時に限り差額分のみの支給となります。老齢年金(基礎・厚生)には所得税・住民税がかかります。老齢厚生年金が併給される場合は、額面が増えても見かけほど手取りが増えない場合があります。

66歳以降

遺族年金の受給権がある方は、老齢年金の「繰下げ受給」ができません。


遺族年金は非常に複雑な制度ですが、知っているかいないかで将来のマネープランが大きく変わります。

「自分の場合はいつまで、いくらもらえるの?」と不安に感じられたら、ぜひ一度個別にご相談ください。



 
 
 

厚生年金に長く加入してきた方にとって、65歳からの年金にプラスアルファされる「家族手当」のような制度が加給年金です。そして、そのバトンを受け取るのが配偶者の振替加算

今回は、この2つの制度の要件と、意外な落とし穴について解説します。


1. 配偶者加給年金をもらうための準備

厚生年金の加入期間が20年以上ある方が65歳になった際、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。

請求時には以下の書類が必要ですが、マイナンバーの登録状況によって省略できるものがあります。

必要書類

確認内容

マイナンバー登録済みの場合

戸籍謄本

夫婦関係の証明

省略不可

世帯全員の住民票

生計を同じくしている証明

省略可能

配偶者の所得証明書

年収850万円(所得655.5万円)未満か

省略可能


2. 加給年金から「振替加算」へのバトンタッチ

配偶者が65歳になると加給年金は止まりますが、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。ただし、配偶者自身の厚生年金加入歴によってルールが異なります。

配偶者の厚年期間

お相手の加給年金

自身の振替加算

備考

20年以上

自身の年金受給まで※

不支給

自身で十分な年金があるため不支給

20年未満

65歳まで支給

支給

昭和41年4月1日生まれの方まで支給

※令和4年4月からの注意点:お相手(受給権者)の老齢年金が、在職老齢年金の仕組みで「全額支給停止」となっている場合は、加給年金も支給停止となります。

3. ここに注意!振替加算が「消える」ケース

一度支給が始まった振替加算は、その後離婚や死別をしても一生涯支給され続けるのが原則です。しかし、以下の場合は支給が止まってしまいます。

1)離婚時の年金分割 分割によって、配偶者自身の厚生年金期間(みなし期間含む)が20年以上になった場合、振替加算は消滅します。

2)65歳以降の「在職定時改定」 65歳を過ぎて働き続け、厚生年金の加入期間が合計20年(240月)に達した場合、その直後の再計算(毎年10月分)から振替加算は止まります。


4.受給タイミング検討時の注意点

以上のルールを踏まえ、受給のタイミングを検討する際は以下のポイントが鍵となります。

  • 繰下げ受給の注意点 加給年金がつく方は、老齢厚生年金を繰り下げると、その待機期間中は加給年金が受け取れません。繰下げをするなら「老齢基礎年金のみ」にするのが、加給年金をフル活用する定石です。

  • 離婚のタイミング 振替加算の受給権を確定させたい場合は、支給が始まってから(配偶者が65歳になってから)手続きをするという選択肢もあります。

年金額の多寡だけでなく、税金や健康保険料の負担、そして何よりご本人のライフプランによって望ましい結果は異なります。トータルバランスを考えることが必要です。

 
 
 

働きながら年金を受け取る際や、退職後に雇用保険・健康保険の給付を受ける際、「どちらかが止まってしまうのでは?」と不安になる方は多いものです。 今回は、複雑に絡み合う「年金と各給付の調整ルール」を分かりやすく解説します。


1.在職老齢年金と「高年齢雇用継続給付」の調整

60歳以降も働きながら老齢厚生年金を受ける際、給与と年金の合計額が50万円(令和6年度支給停止基準額)を超えると年金の一部または全額がカットされます。

さらに、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」を受ける場合は注意が必要です。


■在職老齢年金受給中は以下のように支給停止がかかります(令和6年度) 

給与+老齢厚生年金の額※

老齢厚生年金 (在職中に受ける年金)

高年齢雇用継続給付金受給したとき

50万円未満

全額支給

高年齢雇用継続給付は最大で15%(10%)受けれます 年金から給与の最大6%(4%)が減額されます(※令和7年4月改正)

50万円超

一部または全額支給停止

同上

※正式には 「給与」→総報酬月額相当額 「老齢厚生年金」→年金基本月額 です


2. 「傷病手当金」と年金の調整

病気や怪我で働けなくなった際の「傷病手当金」は、受給のタイミングでルールが変わります。

 

傷病手当金

在職中

調整せず全額受給可能

退職後

「資格喪失後の傷病手当金」は受給不可(老齢厚生年金が少なければ差額支給)

※同一傷病の障害厚生年金と傷病手当金は、調整が入ります


3.「失業給付(基本手当)」と年金の調整

ハローワークで求職の申し込みをすると、65歳未満の老齢厚生年金は全額支給停止となります。年金は月単位で止まりますが、失業給付を全日数分使い切らなかった場合は、後で年金が解除(精算)されます。

支給停止解除月数 = 停止された月数 -(失業給付の支給対象となった日数 ÷ 30日※) ※1未満の端数は切り上げ

尚、障害年金と基本手当は停止調整ありません


4.「年金の方が高い」のに求職申し込みをしてしまったら?

失業給付金と比較して年金の方が有利な場合は、あえて失業給付金を受けないという選択肢もあります。

⚠️万が一、年金額の方が多いのに間違えて求職の申し込みをした場合 

基本手当の受給状況

対応及び影響

未受給

ハローワークに取消調整依頼可能

1日でも受給済

基本手当30日分までの受給で申請すれば年金1ケ月停止で済みます。 但し、31日分以上受給しますと年金2ケ月以上停止になります


5.支給調整のまとめ

 

健康保険の

傷病手当金

労災保険の

障害(補償)等年金

遺族(補償)等年金

雇用保険の

基本手当

老齢厚生年金

※退職後のみ

調整あり

調整なし

調整あり

老齢基礎年金

調整なし

調整なし

調整なし

障害厚生年金

※調整あり

(別傷病除く)

労災側を調整

調整なし

障害基礎年金

調整なし

労災側を調整

調整なし

※傷病手当金の調整: 退職後、または障害厚生年金と同一傷病の場合。「年金額÷360」が傷病手当金の支給日額より多い場合、傷病手当金は支給されません。


65歳未満の年金には「一人一年金」の原則があり、老齢・障害・遺族のいずれかを選択することになります。しかし、雇用保険の基本手当については、障害年金であれば調整されずに両方受け取れるといったルールも存在します。

退職時の選択一つで、受給総額が数十万円単位で変わることもあります。 「自分にとって最適な受給パターン」を知りたい方は、ぜひ個別の年金相談をご利用ください。





 
 
 

りゅう社労士オフィス

愛知県一宮市萩原町富田方字八剱60番地

​社会保険労務士登録番号:23120054

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