【2026年7月施行】障害者雇用率制度の全体像と実務ポイント
- sr-skimata
- 6月1日
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更新日:8月13日
労働力不足が叫ばれる中、企業の障害者雇用に対する関心は年々高まっています。特に2026年7月1日には、民間企業の法定雇用率がさらに引き上げられ、中小企業にとっても「待ったなし」の対応が求められる時期となりました。
本記事では、制度の基本から2026年の改正内容、実務上の算定方法、納付金制度まで分かりやすく解説します。
1. 障害者雇用率制度の概要
障害者雇用促進法では、すべての事業主に対し、一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用することを義務付けています。これは、障害者に就業の機会を広く提供し、社会において自立するのを支えるとともに、共生社会を実現することを目的としています。
毎年6月1日時点の雇用状況を事業主に報告する義務(いわゆる「ロクイチ報告」)があり、達成状況に応じて後述する納付金や調整金などの経済的措置が講じられます。
2026年7月1日より、重要な法改正および数値の引き上げが施行されています。
① 法定雇用率の引き上げ
民間企業の法定雇用率が、これまでの2.5%から「2.7%」へと引き上げられました。
一般事業主(民間企業) : 2.5% ➔ 2.7%(約37人に1人の雇用義務)
国・地方公共団体 : 2.8% ➔ 3.0%
都道府県等の教育委員会: 2.7% ➔ 2.9%
② 義務対象企業の拡大(37.5人以上へ)
雇用率の引き上げに伴い、障害者を「1人以上」雇用しなければならない企業の範囲が広がりました。
変更前:常時雇用する労働者が 40人以上 の企業
変更後(2026年7月~):常時雇用する労働者が37.5人以上 の企業
※これにより、これまで義務の対象外だった38人〜39人規模の企業も新たに雇用義務の対象となります。
3.障害者区分ごとの算定方法(カウント方法)
自社が義務を達成しているかを正確に把握するためには、「常時雇用する労働者数」と「実際に雇用している障害者数」の双方を正しくカウントする必要があります。
① 常時雇用する労働者の数のカウント
週所定労働時間が20時間以上で、かつ1年を超えて雇用される見込み(または雇用された)の労働者が対象です。
週30時間以上: 1人
週20時間以上30時間未満(短時間労働者): 0.5人
(※なお、週10時間以上20時間未満の「特定短時間労働者」(重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者)についても、2028年10月の改正までの経過措置や各種特例を除き、基本的には上記基準となります)
② 雇用している障害者の数のカウント(人数の換算)
実際に雇用している障害者は、障害の種類や程度、労働時間によって「0.5人」「1人」「2人」に換算してカウントします。
対象:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳または、都道府県知事が指定
する医師又は産業医による診断書又は意見書や都道府県が指定する機関が発行する
判定書を保持する者
週所定労働時間 | 30時間以上 | 20時間以上 30時間未満 | 10時間以上 20時間未満 |
身体障害者 | 1 | 0.5 | - |
重度 〃 | 2 | 1 | 0.5 |
知的障害者 | 1 | 0.5 | - |
重度 〃 | 2 | 1 | 0.5 |
精神障害者 | 1 | 1※ | 0.5 |
(※当分の間の措置として、精神障害者である短時間労働者は、雇入れの日からの期間等にかかわらず、 1人をもって1人とみなすこととされています。)
※就労継続支援A型の利用者は雇用契約を結んでいますが、福祉サービスの利用者の位置づけであるため、厚生労働省が定める障害者雇用率の実雇用率には算定されません。
法定雇用率の達成・不達成に応じて、企業の経済的負担やメリットが変わる「二重構造」の仕組みが用意されています。
① 障害者雇用納付金(ペナルティ)
対象: 常時雇用する労働者数が100人を超える事業主
内容: 法定雇用率に達していない場合、不足する労働者1人につき「月額5万円」が徴収されます(最大で年間60万円/人)。
(※なお、新たに義務対象となった企業等には、初年度の負担に配慮した5年間の経過措置として減額規定が設けられている場合もあります)
② 障害者雇用調整金・報奨金(インセンティブ)
障害者雇用調整金(常時雇用100人超): 法定雇用率を超えて障害者を雇用している場合、超過した労働者1人につき「月額29,000円」が支給されます。
※ 支給対象人数が年120人月を超える場合には、当該超過人数分への支給額が1人当たり月額23,000円となります。
報奨金(常時雇用100人以下): 義務対象外または100人以下であっても、各月の常時雇用している障害者の数の年度間合計数が一定数(各月の常時雇用している労働者の数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)を超えて障害者を雇用している中小企業に対し、超過した労働者1人につき「月額21,000円」が支給されます。
5.まとめ
2026年7月の改正により、中小企業における障害者雇用のハードル(および未達成時のリスク)は確実に高まっています。万が一、基準を満たしていない状態を放置し、改善指導に従わない場合には企業名の公表といった重いペナルティにつながるおそれもあります。
まずは「自社の正確な労働者数」と「現在の実雇用率」を速やかに再計算し、計画的な採用や短時間勤務枠の活用、特例子会社・就労支援機関との連携などを視野に入れていきましょう。

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